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妊娠中、お薬飲んでも大丈夫?

妊娠中、お薬飲んでも大丈夫?
〜赤ちゃんとママのために知っておきたいこと〜

※当サロンではお薬の使用や処方などの相談には対応しておりません。
ご不安な点がある場合は、必ず医師・薬剤師など専門の医療機関にご相談ください。

\この記事でわかること/

妊娠週数と薬の影響の違い

妊娠経過は、一般的に「初期・中期・後期」と呼ばれますが、薬の影響に注目すると次のように分類されます:

  • 初期(5〜12週):器官形成期で最も影響が出やすい時期
  • 中期(13〜27週):胎盤完成後で薬の移行性が高まる
  • 後期(28週〜):循環・呼吸系の完成期で影響が出生後に残ることも

これは、厚労省や成育医療研究センターなどの情報に基づいた分類です。

妊娠に気づく前に薬を飲んでしまったら

「妊娠前に風邪薬を飲んでしまっていたんです…」
「妊娠していたなんて知らなかったから、市販の鎮痛薬を使ってしまって…」
そんな声を、私たちは日々の相談の中でよくお聞きします。
とくに妊娠が判明する前の妊娠0〜4週(超初期)は、まだ胎盤も完成しておらず、自分でも妊娠に気づいていないことがほとんどです。だからこそ、「飲んでしまった薬が赤ちゃんに影響するのでは?」と不安になるのは、ごく自然なことです。

でも、まずは落ち着いてください。

妊娠超初期は「全か無かの法則」が働く時期です

妊娠0〜4週の超初期には、「全か無かの法則(all-or-none law)」が働くとされています。
これは、「薬の影響がまったく出ない」か「もし影響が出るなら、妊娠の継続が難しくなるほど重く出る」とされる考え方です[1]。
つまり、この時期に一時的に市販の風邪薬や鎮痛薬などを飲んだとしても、必ずしも赤ちゃんに影響が出るとは限らないのです。

実際に、公益社団法人 日本産婦人科医会でも、「妊娠前後の服薬については、まずは過度に心配せず、医師や薬剤師へ相談を」と案内しています[2]。

必ず医師に相談したいケースもあります

  • 抗がん剤・免疫抑制剤・抗てんかん薬など、影響の大きい薬を服用中だった方
  • 妊娠前から処方薬を継続的に飲んでいた方

これらは、薬の種類によっては赤ちゃんへの影響が心配されることがあります。

「お酒やたばこも心配です…」という方へ

「妊娠前にお酒を飲んでしまっていました」
「タバコを吸ってしまったけど、大丈夫でしょうか」
そんな声も多く届きます。

でも、過去を悔やむよりも、「今から変えていくこと」
それが、赤ちゃんとあなたの未来のケアにつながります。
妊娠・出産は、不安も多く、たくさんの選択をしていく時間です。悩んだときは、一人で抱え込まず、医師や薬剤師に相談してみてください。

【引用文献】

[1]:厚生労働省 e-ヘルスネット「妊娠と薬」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-04-002.html
[2]:公益社団法人 日本産婦人科医会「妊娠と薬Q&A」
https://www.jaog.or.jp/lecture/妊娠と薬q-a/

妊娠初期(5〜12週)のお薬

器官がつくられる、とても大切な時期です

妊娠5〜12週は「器官形成期」と呼ばれ、赤ちゃんの脳・心臓・手足などの基礎ができあがっていく重要な時期です。
この時期は、薬や成分の影響を受けやすいため、慎重な判断が必要とされています。

「妊娠に気づかずに薬を飲んでしまった…」と不安になる方も多いですが、すべての薬が悪いわけではありません。
大切なのは、不安を一人で抱えず、正しい情報とサポートを受けながら安心につなげていくことです。

注意が必要な薬の一例

  • レチノール(ビタミンA)を含む製品
    美白クリーム、美容サプリ、肝油ドロップなど
    妊娠中の過剰摂取により、胎児の形態異常のリスクが報告されています
    → 成分表示に「レチノール」「パルミチン酸レチノール」がある場合は、使用前に確認を。
  • ACE阻害薬(降圧剤)
    例:レニベース®(エナラプリル)、カプトリル®(カプトプリル)
    妊娠中は胎児の腎障害・羊水過少・発育遅延のリスクがあり、他の降圧薬への切り替えが推奨されます。
  • 抗てんかん薬
    例:デパケン®(バルプロ酸)、テグレトール®(カルバマゼピン)
    一部の薬は神経管閉鎖障害などのリスクがあるため、妊娠の継続とともに主治医による調整が必要です。

サプリやスキンケアも「成分チェック」で安心

薬以外にも、サプリやスキンケア用品に含まれる成分に注意が必要な場合があります。
「レチノール入り美容液」「ハーブ系サプリメント」なども気になるときは、遠慮せず確認を。
不安を抱えるよりも、『これは使って大丈夫?』と聞いてみることが安心につながります。

妊娠中でも薬が必要なときもあります

高血圧、てんかん、感染症など、治療が必要な状態で薬を使うことは、ママと赤ちゃんの両方を守ることにつながります。
「薬は全部ダメ」と思い込まず、“何をどう使うか”を医師と一緒に考えることが大切です。

最後に|気づいた“今”からできること
「知らずに飲んでしまった」「使ってしまった」という不安も、“気づいた今”からの対応で、ちゃんと間に合います。
心配なときこそ、ひとりで抱えずに相談してくださいね。

【引用文献】

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」
https://www.jpnsh.jp/guideline.html
国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」
https://www.ncchd.go.jp/kusuri/

妊娠中期(13〜27週)に気をつけたい薬と成分

妊娠13〜27週の中期は、胎盤が完成し、赤ちゃんに栄養や酸素が届く安定した時期。
でも同時に、薬やサプリメントの成分も胎盤を通して赤ちゃんに届きやすくなります[1]。

■ とくに注意したい成分とその理由

  • ロキソプロフェン(NSAIDs系)
    頭痛や生理痛に使われることが多い市販薬(例:ロキソニン)に含まれる鎮痛成分です。
    妊娠後期の使用では、赤ちゃんの「動脈管」という血管が早く閉じるリスクがあると報告されています[2]。
    自己判断での使用は避け、医師に相談を。
  • ビタミンA(レチノール)
    妊娠中にも必要な栄養素ですが、サプリメントなどで過剰に摂取すると胎児の形成異常のリスクがあるとされています[1]。
    美容系サプリや高機能スキンケアなどにも含まれることがあるため、成分表示の確認を。
  • 抗不安薬・抗うつ薬
    妊娠中も、心のサポートが必要な場面は少なくありません。
    ただし、薬の種類によっては出生直後の呼吸抑制や哺乳不良が報告されており、医師との相談が必須です[3]。

■ すでに服薬している方へ

「妊娠したから薬はやめなきゃ」と思う気持ちは自然ですが、急な中止が逆にリスクとなることもあります。

  • 気分の落ち込みや不安の再発
  • 食欲や睡眠の乱れ
  • 妊娠生活全体への悪影響

→ 心療内科の主治医と産婦人科の連携のもとで、安全な方法を一緒に探しましょう。

■ 妊娠をきっかけに服薬を考えている方へ

妊娠中は、ホルモンの影響もあって、今までにない気分の揺れや不調が出てくることがあります[4]。
薬を使用するか迷ったときは、「赤ちゃんとママ、どちらも大切にするための相談」を心がけましょう。

また、薬に頼らないサポートとして、次のような選択肢もあります:

  • 認知行動療法(CBT)
  • 心理カウンセリング
  • セラピーやリラクゼーション
薬を「使う」「使わない」の二択ではなく、
“安心して育児を迎えるために、どう支えるか”という視点が大切です。
迷ったときは、どうか一人で抱え込まず、医師や専門家と一緒に考えていきましょう。

【引用文献】

[1]:日本産婦人科医会「妊娠と薬の相談ガイドブック」
https://www.jaog.or.jp/
[2]:Briggs GG, Freeman RK, Yaffe SJ. Drugs in Pregnancy and Lactation. 12th ed.
[3]:Teratology Society. Teratology Primer: Medications and Pregnancy, 2021 Edition
[4]:厚生労働省 eJIM「妊娠中・授乳中の健康食品の注意点」
https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/12.html

妊娠後期(28週〜40週)に気をつけたい薬と成分

はじめに

妊娠28週を超えると、赤ちゃんの肺や中枢神経が急速に発達し、いよいよ「生まれる準備」が始まります。
この大切な時期には、薬の成分が胎盤を通じて赤ちゃんに届きやすくなるうえ、薬の影響が出生後に現れるリスクも高まります。
「薬=悪いもの」ではありませんが、どんな薬でも慎重に扱うことが求められます。

【1】妊娠後期ってどんな時期?

  • 胎盤はすでに完成し、薬の成分が胎児に届きやすい状態に
  • 脳・肺・循環機能など、赤ちゃんの“生きる力”が仕上がる時期
  • 新生児期に向けて、体のさまざまな準備が進む

【2】注意したい薬の例とその影響

薬の種類 主な成分例 赤ちゃんへの影響
抗うつ薬(SSRI・SNRI) パロキセチン、デュロキセチン 新生児薬物離脱症候群(震え、哺乳不良、呼吸の速さ)※Merlob et al., 2006
モルヒネ系鎮痛薬 モルヒネ、オキシコドン 呼吸抑制、筋緊張低下、眠気による哺乳困難
NSAIDs ロキソプロフェン、イブプロフェン 動脈管早期閉鎖 → 胎児の血液循環に影響
ベンゾジアゼピン系抗不安薬 ジアゼパム、ロラゼパム 呼吸抑制、筋力の低下
マグネシウム製剤 ―(早産予防で使用) 長期使用で新生児の筋緊張低下や呼吸不全の報告あり

【3】日常で気をつけたいこと

  • 市販薬・サプリメント・漢方薬も含めて、使用前に成分を確認
  • 「ネット検索より専門家へ相談」を基本に

薬は“避ける”のではなく、“適切に使う”ことでママと赤ちゃんを守るツールです。

妊娠後期は、赤ちゃんが無事に生まれる準備を整える大切な時間。
この時期に薬が必要なケースもありますが、大切なのは「正しい判断と相談」です。
薬について不安なときは、ひとりで抱えずに医師・薬剤師に相談してみてください。
安心できる選択が、赤ちゃんとママの健康な一歩につながります。

【引用文献】

日本産婦人科医会「妊娠中・授乳中の薬のしおり」(2021)
厚生労働省「妊娠と薬情報センター」
https://www.ncchd.go.jp/kusuri/
Merlob P, et al. Neonatal withdrawal syndrome after in utero exposure to selective serotonin reuptake inhibitors. Arch Dis Child Fetal Neonatal Ed. 2006;91(3):F223-F226.

妊娠中の外用薬、塗り薬や湿布は本当に安心?

〜見えない吸収と、やさしい注意〜

妊娠中、「塗るだけ」「貼るだけ」だから安心、と外用薬を使っていませんか?
でも実は、外用薬も皮ふや粘膜から吸収されて血流に乗ることがあります(※厚生労働省:妊娠と薬に関するQ&A)。
とくに妊娠後期(28週以降)は、赤ちゃんの呼吸や循環機能が完成に近づく時期。
この時期に使用する薬には、慎重な選択が求められます(※日本産婦人科医会:妊娠中・授乳中の薬のしおり)。

外用薬とは?「塗る・貼る・さす・噴霧する」薬のこと

体の外側から使う薬は、直接口から摂取するわけではないものの、皮ふや粘膜を通して体内に吸収される場合があります。
これは特に妊娠後期のように循環器系が敏感な時期には注意が必要とされています(※日本薬剤師会:医薬品情報2022年版)。

妊娠中に注意が必要な外用薬の例

  • 湿布薬(インドメタシン・ケトプロフェンなど)
    胎児の「動脈管」という血管に作用し、閉じるリスクがあるとされています(※Briggs et al., Drugs in Pregnancy and Lactation)。
    これは赤ちゃんの循環に影響するため、妊娠後期にはとくに慎重に。
  • ステロイド外用薬(リンデロン、ロコイドなど)
    通常の使用量であれば問題ないとされますが、広い面積や長期使用では体内吸収が増加します(※日本薬剤師会)。
    念のため、医師に相談を。
  • 点鼻薬(ナファゾリンなど)
    血管を収縮させる作用があり、子宮・胎児の血流に影響する恐れがあります(※日本産婦人科医会)。

安心してケアするために

「これって大丈夫かな?」と思ったときは、自己判断を避けて医師や薬剤師に相談しましょう。
とくに市販薬を使うときは、妊娠中であること・妊娠週数を必ず伝えると、より安全に使うことができます(※厚労省:妊娠と薬Q&A)。

妊娠中は、心も体も揺らぎやすい時期。
そんな時こそ、「確認すること」そのものが安心につながるセルフケアになります。
「使っても大丈夫かな…?」
そう感じたら、遠慮なく相談してくださいね。
あなたと赤ちゃんの健やかな毎日のために、小さな気づきが大きな安心を生みます。

【引用文献】

厚生労働省「妊娠と薬に関するQ&A」
日本産婦人科医会「妊娠中・授乳中の薬のしおり」
日本薬剤師会「薬剤師のための医薬品情報2022年版」
Briggs GG et al. Drugs in Pregnancy and Lactation: A Reference Guide to Fetal and Neonatal Risk, 12th ed.

授乳中の薬、飲んでも大丈夫?

「授乳中だから薬は飲めない」と思い込んでいませんか?
でも実際は、授乳中でも使用できる薬は多くあり、正しく選べば安心して治療を受けられると、厚生労働省や日本産婦人科医会は明記しています[1,2]。

【母乳に薬が移行するしくみ】

母乳中への薬の移行は、以下の性質に左右されます[3]:

  • 分子が小さい薬は移行しやすい
  • 脂溶性が高い薬は乳脂肪に溶けやすい
  • 血中のタンパクと結びつきにくい薬は移行しやすい
  • 半減期が長い薬は、体内に長く残りやすい

【避けた方がよい薬】

  • コデイン(咳止め)
    → モルヒネに代謝されやすく、呼吸抑制が報告されています(例:ブロン液)[1,4]。
  • リチウム(気分安定薬)
    → 赤ちゃんの腎機能では排泄しにくく、中毒症例も報告されています(例:リーマス)[1,3]。
  • クロラムフェニコール(抗菌薬)
    → 新生児が代謝できず、重篤な副作用“グレイ症候群”のリスクがあります(例:クロロマイセチン)[1,4]。

【比較的安全な薬】

  • アセトアミノフェン(カロナール、タイレノール)
    → 解熱・鎮痛に使われ、世界中で「授乳中でも安全」とされています[1,2]。
  • セフェム系抗生物質(セフジニル、セフカペンなど)
    → 母乳への移行が非常に少なく、安心して使用されています[2]。
  • インスリン(ヒューマリンなど)
    → 分子が大きく母乳中への移行がほとんどなく、赤ちゃんの体内では分解されます[1,4]。

【授乳中に薬を使うときのポイント】

  • 授乳直後に服用することで、血中濃度が下がるタイミングで次の授乳を迎えられます
  • 長時間作用型より、短時間作用型の薬を選ぶ
  • 市販薬は成分表をしっかりチェック
  • 医療者に「授乳中」と伝えることで、安心できる処方が受けられます
「母乳をあげてるから薬は飲めない」と、我慢しすぎていませんか?
でも、必要な薬を必要なときに使うことも、赤ちゃんを守る大切な選択肢です。
正しい情報と医療者のサポートがあれば、授乳と治療は両立できます。
「今の自分を大事にすること」―― それは、育児を支える一歩でもあります。
迷ったときは、ひとりで抱え込まず、遠慮なくご相談くださいね。

【引用文献】

[1] 日本産婦人科医会「授乳と薬のガイドライン」
[2] 厚生労働省「妊婦・授乳婦の薬物治療の手引き(2022年版)」

[3] 国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」
https://www.ncchd.go.jp/kusuri/
[4] Hale, T. W. Medications and Mothers’ Milk (2023)

まとめとメッセージ

妊娠中や授乳中の薬のこと。
「飲んでもいいの?」「赤ちゃんに影響はない?」――
そんな不安や迷いは、親になった証とも言える大切な感情です。

でも、薬は決して“避けるべきもの”ではありません。
正しく使えば、ママと赤ちゃんを支える大切な力になります。

そして、胎児の先天異常は薬だけが原因ではなく、何も薬を使わなくても一定の確率で起こりうることも、知っておいてほしい大切な事実です[3]。

だからこそ、薬をどう使うかを話し合い、選ぶことは、親としての責任であり、愛情のカタチ
迷ったときは、ひとりで抱え込まず、医師・薬剤師・助産師など専門家に相談してください。

あなたと赤ちゃんの健やかな毎日のために。
安心して選べる“知識”と“支え”を、これからも一緒に見つけていきましょう。

迷ったら、どうか一人で抱え込まずに。
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やさしく、安心できる時間を一緒に過ごしませんか?
お気軽にご予約ください。

【引用文献】

[1]日本産婦人科医会. 妊娠中・授乳中の薬の使用に関するガイドライン.

[2]国立成育医療研究センター. 「妊娠と薬情報センター」
https://www.ncchd.go.jp/kusuri/

[3]Moore, C. A., et al. (2003). “Does taking medication during pregnancy increase the risk of birth defects?” Birth Defects Research, 67(4), 305–313.

※当サロンではお薬の使用や処方などの相談には対応しておりません。
ご不安な点がある場合は、必ず医師・薬剤師など専門の医療機関にご相談ください。

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